Movies (2026年4月19日号)
Frankenstein
フランケンシュタイン
CAST & STAFF
怪物が突き付ける永遠の命題
あらすじ 北極航海中の船に救助されたビクター・フランケンシュタイン男爵が、自身の体験を語り始めます。かつて彼は生命を創り出す野望を抱き、廃墟の城でついに「怪物」の創造に成功。しかし期待外れの出来に打ちひしがれ、城に火を放ちます。かろうじて脱出した「怪物」は創造主であるビクターを捜し求め……。原作の世界を独自の解釈と圧倒的な映像美でよみがえらせたダーク・ファンタジーです。 場面説明 シーン1は、医療懲戒裁判所で科学者のビクターが死体の蘇生研究を披露し、ごうごうたる非難を浴びる場面です。シーン2では、学界から追放されたビクターに武器商人のハーランダーが声をかけ、ビクターの家で対話をします。シーン3では、ハーランダー秘蔵のリンパ系の標本を前に2人が意見を交わします。シーン4では、ビクターが弟のウィリアムと久しぶりに再会。自らの研究やその姿勢について語り合います。
メアリー・シェリーの原作小説(1818年刊)は未読でも、「フランケンシュタイン」の名を知らない人はまずいないでしょう。世間一般には、往年の映画化作品の影響で「怪物ホラー」のイメージが定着していますが、原作は人間の倫理や科学の功罪といったはるかに深遠なテーマを扱っています。 本作では、主人公ビクターの傲慢(ごうまん)さがセリフから読み取れます――“If we are to behave as immodestly as gods, we must, at the very least, deliver miracles.”(我々が不遜〈ふそん〉にも神のごとく振る舞うのなら、奇跡の一つも起こしてみせねばならぬ)。後に彼はその罪にさいなまれ、“The achievement felt unnatural. Void of meaning.”(その達成感は不自然で、どこか空虚だった)と吐露します。一方、知性を獲得した「怪物」の、孤独と絶望から発する “I want to know who I am. Where do I come from?” という言葉が胸に迫ります。 今日、生命科学の発展(人工生命の研究など)で200年前の想像が現実に近付きつつある中、倫理観との調和は一層重要です。そしてそこには哲学的な視点も加わります。「私は誰?」という「怪物」の問いは、時代を超えて私たち人間に突き付けられる永遠の命題と言えるでしょう。 (中俣真知子 翻訳者)
This is a hearing, Doctor, not a carnival act.
これは審問会だ、先生。見世物小屋の芸ではない。
You’re not helping your cause, Victor. This galvanic trickery will simply not do.
君の主張の助けにはならんぞ、ビクター。こんな電気仕掛けのペテンなど、到底認められん。
Trickery. Trickery? Are you sure? (Tosses a ball to the “Upper Body” made of body parts, which catches it.) That is not trickery. That is a decision. Motor coordination between the eye of one dead man and the arm of another, infused with a new will and the rudiments of understanding.
ペテン? ペテンだと? 本気で言っているのか?(彼がボールを放ると、死体のパーツをつなぎ合わせた「上半身」がそれをキャッチする)今のはペテンじゃない。決断だ。1人の死者の眼と別の死者の腕との間に、新たな意志と理解の萌芽を吹き込んだ運動連携だ。
Asahi Weekly DIGITALのコースにお申し込みいただくと続きをお読みいただけます。
初回・1カ月間無料でお楽しみいただけます。

