Movies (2026年11月1日号)
Remarkably Bright Creatures
親愛なる八本脚の友だち

1. トーヴァを演じたサリー・フィールドはこの作品でエミー賞を受賞
CAST & STAFF
水槽の内側から人間を眺めると
あらすじ 小さな町ソーウェル・ベイで水族館の清掃員として働くトーヴァは、夫に先立たれ、孤独な日々を送っていました。心の支えは、水族館で飼育されているミズダコのマーセラス。ある日、けがをしたトーヴァの代わりに、たまたま町に来ていた若者キャメロンが働き始めることになります。人生に迷うキャメロンと過去の悲しみにとらわれるトーヴァは、次第に互いを支える存在になっていきます。ミズダコの視点を交えながら、喪失を抱えた人々が心を通わせていく様子を描いたドラマです。 場面説明 シーン1は、ソーウェル・ベイに来た若者キャメロンが、故障した車をなんとかしようと入った店の店主イーサンと話す場面です。シーン2では、トーヴァが近所の女性たちの編み物サークルに顔を出しますが、彼女たちのうわさ話にへきえきします。シーン3では夜勤中、トーヴァが水槽を拭きながらマーセラスに独り言を言っています。シーン4は、足首を捻挫したトーヴァがイーサンの店に薬を買いに行ったところです。シーン5は、トーヴァが様子を見に水族館に出向いたところ、マーセラスが水槽から逃げ出していました。収拾はしたもののバックヤードは散らかっています。
全米で100万部を突破したベストセラー小説の映画化で、水族館のミズダコと館内の清掃員として働く女性、周囲の人々との交流を描いた人間ドラマです。 本作の面白さの一つが、人間たちを水槽の中から観察するオスのミズダコ、マーセラスの視点であり、彼がこぼす人間たちには聞こえないつぶやきです。“Humans and their incessant jabber.”(人間ときたら、ひっきりなしにべらべらしゃべる)と、人間のおしゃべりを少々あきれた様子で眺め、さらに “If they could just quiet down, perhaps they'd make better use of their eyeballs.”(もう少し静かにしていれば、目をもっと有効に使えるだろうに)と、人間はしゃべることに夢中で、目の前の大切なものが見えていないと皮肉を言います。 でもあきれているだけではありません。英タイトルは、マーセラスが漏らす「人間評」で、この bright は「明るさ」ではなく「聡明(そうめい)さ」と捉えてよいでしょう。人間のどんなところを「聡明」と評したのか。ソーウェル・ベイの町の人たちに私たちも目を凝らしてみましょう。 (狩野綾子 翻訳家)
What brings you to Sowell Bay?
どうしてソーウェル・ベイに来た?
Ah, just looking for someone.
ああ、ちょっと人を探してて。
A friend?
友だち?
Asahi Weekly DIGITALのコースにお申し込みいただくと、「Movies」の脚本をすべてお読みいただけます。
初回・1カ月間無料でお楽しみいただけます。
