Movies (2025年1月1-5日号)
Damsel
ダムゼル/運命を拓きし者
CAST & STAFF
単語の持つイメージで読み解く
あらすじ 貧しい国の王女エロディは父親に請(こ)われ、自国の困窮した民を救うために、豊かな国アウレアのヘンリー王子に嫁(とつ)ぐことになります。しかしその結婚は、アウレアの王族が古代の契りを守るために彼女を生贄(いけにえ)にするのが目的でした。やがて、エロディは恐ろしいドラゴンが棲む深い洞窟に投げ込まれますが――。そんな彼女の奮闘を描いた手に汗握る冒険ファンタジーです。
ダムゼル(damsel)は「乙女(young unmarried woman)」を意味し、中世を舞台にした物語などによく出てくるようです。ただ、主人公のエロディは冒頭こう語ります。“There are many stories of chivalry where the heroic knight saves the damsel in distress. This is not one of them.”(勇敢な騎士が苦境の乙女を救う物語は多々あるが、これはその類ではない) damsel には「助けを待つ、か弱い女性」というイメージがありますが、エロディは強い意志と勇気と行動力の持ち主。タイトル自体が与える印象とは正反対の人物像を描くことで、見る側の先入観を覆す効果を狙っているのかもしれません。 この単語は古フランス語の damoisele(若い未婚女性)などに由来し、13世紀に英語に取り入れられて damsel として定着。当時の女性の地位や役割も影響し、守られるべき存在というイメージが強まりました。前述の “damsel in distress” は騎士道ロマンスでの一種の決まり文句ですが、戦う女性のエロディは damsel より inde- pendent and strong woman という描写がぴったりと言えるでしょう。(中俣真知子 翻訳家)
What do you think about me?
私のことをどう思うかしら?
Pardon?
何だって?
Well, you seem disinterested at best, which is your prerogative, but I’d like to know if the person I’m being guilted into marrying truly likes me or not.
つまり、あなたはどう見ても無関心のようだし、そうするのはあなたの特権だけれど、私が罪悪感から結婚する相手が本当に私を好きかどうか知りたいの。
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