Movies (2025年8月10-17日号)
Matilda: The Musical
マチルダ・ザ・ミュージカル
CAST & STAFF
人気児童文学に学ぶ侮辱語
あらすじ マチルダ・ワームウッドは、テレビと金もうけに夢中で娘に無関心な両親に苦しめられている聡明な少女。唯一の楽しみは、図書館で読書に没頭している時間です。しかし学校に通い始め、そこで担任のハニー先生の優しさに触れたマチルダは、自分が持つ 「超能力」 に気付き始めます。子どもたちをいびる残忍なトランチブル校長に立ち向かい、自身の運命を切り開いていく少女の、不条理に挑む知恵と勇気の物語です。 場面説明 シーン1では、けんかするワームウッド夫妻のもとに学校の調査員が訪れます。シーン2では、難しい数式を解くマチルダにハニー先生が驚きます。シーン3は、ハニー先生がマチルダの才能を校長に訴えようとする場面です。シーン4では、商売でインチキをしようとする父親にマチルダが抗議します。シーン5では、無実の罪を着せられたナイジェルをマチルダが校長から救おうとします。シーン6では、校長がマチルダを泥棒に仕立て上げようとします。
英国の児童文学作家ロアルド・ダールの代表作「マチルダは小さな大天才」(原題:Matilda)は、これまでにも映画化され、ミュージカルとしても世界各地で上演されてきました。最大の見どころは、学校で子どもたちに「恐怖政治」を敷くトランチブル校長に、知恵と勇気を武器に立ち向かう天才少女マチルダの、胸のすくような反撃でしょう。 子ども嫌いの校長は、生徒たちのことを平然と brat(生意気なガキ)や、wart(いぼ)といった侮辱的な言葉で呼びます。今回抜粋したセリフに登場する wart は、「目の上のたんこぶ」と意訳しました。さらに imp(s)(小悪魔)、hobgoblin(s)(妖怪)、maggot(うじ虫)、snot-ball(鼻くそ)など、信じがたい言葉が次々と飛び出します。 過剰とも言えるこうした人物描写は、1950〜60年代を中心に英国に存在した厳格な教育観の名残でもあります。トランチブル校長の存在には、教育や権威の乱用に対するダールならではの鋭い批判が込められていると言っていいでしょう。 (狩野綾子 翻訳家)
We’re trapped in the chains of debt. And you, you expect me to escape like I’m some kind of... flaming escapologist!
借金地獄なんだよ。なのにお前は、まるで……脱出術師のように抜け出せって言うのか!
Escapologist, is it? Well, I have a whole house to run. Dinners don’t microwave themselves, you know.
何が脱出術師よ? こっちは家を切り盛りしてるのよ。夕飯だって勝手にチンで出てくるわけじゃないんだから。
(From another room.) Hello?
(別の部屋から)あのー?
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